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【薬剤師執筆】淋菌の症状と治療法・男女別の感染事例

淋菌感染症は、性行為によって感染する病気―性行為感染症の1つで、患者さんの数が最も多い性器クラミジア感染症に次いで、多くの患者さんがいます。

淋菌感染症の原因である淋菌は、からだから離れると日光や乾燥で死んでしまう弱い菌といってもよいでしょう。

しかし、年々薬がきかない淋菌があらわれてきているのです。使用できる薬が限られてきてくるため、その薬が使えない患者さんの場合は治療に困ることにもなります。

ほうっておくと女性では子宮外妊娠や不妊症をひきおこすこともあります。感染がわかったらすぐに治療を受けることが必要な病気です。

淋菌の症状の特徴

淋菌感染症は、淋菌が感染することによっておこります。

男性、女性ともに感染する病気ですが、女性では症状がないことが少なくありません。また、咽頭や直腸に感染した場合にも症状ははっきり出るわけではありません。

このようなに症状があらわれない場合には、淋菌に感染していることに気づかずに、性行為の相手にうつしてしまうことが多いといえるでしょう。

 

男性器の症状

男性の場合、多くは尿道炎の症状があらわれます。淋菌に感染してから2~7日間は症状があらわれませんが、その後、尿道から多量の黄白色の分泌物が出たり、排尿時に痛みを感じたりするようになります。いったん排尿した後30分もたつと、また分泌物が出てくるのがわかるでしょう。陰茎のおなか側を根元から亀頭に向けて圧迫することでも分泌物は出てきます。尿検査をすると白血球が多数見られるのが特徴です。

このような淋菌による尿道炎を治療しないままほうっておくと、淋菌の感染が、さらに尿道から精管をとおって他の場所―精巣上体(尿道と精巣がつながる間にある)にまでひろがり、そこで炎症がおこるようになります。はじめは片側だけの炎症だったとしても、治療しないと両側にひろがっていきます。たとえ治療したとしても無精子症になることもあるような強い炎症ですから、はれた痛みで歩きにくくなることも、熱が出たりすることもあることを知っておきましょう。

 

女性器の症状

女性の場合、子宮頸管に感染したときの症状は、おりものが増える、不正出血がみられるのが一般的ですが、症状がない場合も少なくありません。症状がない場合にほうっておくと、淋菌は子宮から卵管をとおって、子宮のまわりにも感染します。

卵管に感染したまま治療しないと、卵管の動きが悪くなる・狭くなるなどにより、子宮外妊娠や不妊症にもつながります。さらに、おなかの上のほうに淋菌の感染がひろがっていくと、肝臓の表面にまで達して、急に重症の肝臓周囲炎がおこり、肝臓のまわりがくっついてしまい右のおなかの上のほうに痛みが出るようになることが知られています。

また、淋菌が尿道に感染して尿道炎になると、排尿するときに違和感があります。膣の入り口にあるバルトリン腺に感染した場合には、炎症がおこり、はれて痛くなったり、膿の汁が出てきたりします。

 

のどの症状

オーラルセックスにより、のどに淋菌が感染することがありますが、のどに感染したとしても、あまり症状を感じることはありません。

 

全身の症状

淋菌が血液に入ってしまった場合、熱が出る、からだがだるい、関節が痛い、皮膚に膿が入ったぼつぼつができるなどの症状があらわれるようになります。

まれに心臓や髄膜にも炎症をおこします。ほうっておくと、関節がこわされてしまいますので、感染がわかったらすぐに治療を開始し、関節を守ることが必要です。

 

眼の症状

眼に淋菌が感染した場合は、12~48時間後には、まぶたがむくみ、大量の膿が出るようになります。

眼の表面がただれたり穴があいたり、眼球全体に感染がひろがり、最終的には眼が見えなくなることもあります。

 

直腸の症状

女性とのアナルセックスや男性同士のアナルセックスにより、直腸に淋菌が感染することがあります。

多くの場合は症状がありませんが、肛門のかゆみや不快感、アナルセックス時の痛み、下痢、血便、膿の混じった血便などが見られることもあります。

 

感染する

淋菌の感染原因

淋菌感染症の原因である淋菌は、コンドームを使わずに性行為を行うことで相手に感染します。淋菌は弱い菌ですが、1回の性行為で30%ほどの人で感染することが知られていますので、感染率は決して低いわけではありません。

フェラチオやクンニリングスなど口を使ったオーラルセックスによってのどに感染することがあるため、のどに感染している相手から移ることもあります。また、アナルセックスによって直腸に感染することもあります。

そのほか、淋菌が血液中に入ると全身性に感染がひろがることが知られています。また、淋菌に感染した性器をさわった手で眼をこすることなどで眼に感染することがあります。妊婦が淋菌の感染に気づかず子どもを生むと、子どもの眼に淋菌性結膜炎をおこすこともあります。

 

淋菌の治療法

淋菌に感染したかどうかは、男性では尿道分泌物を調べるとわかります。女性では、子宮からの分泌物を専用の綿棒のようなものでとり、検査を行います。

淋菌感染症の症状はクラミジア感染症の症状と似ているため、淋菌とクラミジアの両方に感染しているかどうかを検査することが必要です。なお、淋菌感染症の患者さんの約30%は、クラミジアにも感染していることが知られています。淋菌とクラミジアの両方にかかっていた場合は、淋菌とクラミジアに対する薬の治療を同時に考えるようにします。

淋菌感染症にかかったことがわかったら、できるだけ早く薬による治療を開始します。性行為の相手の治療も一緒にすることが必要です。以前は淋菌にきいていた薬でも、その薬ではきかない淋菌が出てきているため、使うことができる薬は主にセフトリアキソンとスペクチノマイシンの2種類といってよいでしょう。2種類とも注射で使う薬です。このうち、スペクチノマイシンは注射しても薬がのどには到達しないため、のどの淋菌感染への効果は少ないと考えられています。

 

男性器・女性器への感染の治療―尿道炎・子宮頸管炎

淋菌による尿道炎や子宮頸管炎の患者さんでは、症状はなくても10~30%の患者さんで、のどにも感染していることがあります。そのため、まず使う薬は、のどへの感染も一緒に治療できるセフトリアキソンです。スペクチノマイシンは二番手の薬です。そのほか、自分で飲むことができるアジスロマイシンも使われます。

現在のところ、セフトリアキソンとスペクチノマイシンは、淋菌による尿道炎や子宮頸管炎に対して、100%近く効果があると考えられているため、使用後に淋菌がいなくなったかどうかの検査は必ずしも行う必要はありません。

ただし、他の薬を使う場合には、排尿時の痛みや分泌物がなくなったとしても、淋菌はいなくなっていない場合もありますので、必ず淋菌がいなくなったかどうかの検査を行わなくてはなりません。女性の場合は、淋菌が完全にいなくならないまま放置してしまうと、不妊症や卵管妊娠の原因となるため、必ず検査により淋菌がいなくなったことを行うようにします。

セフトリアキソンナトリウム水和物(商品名:ロセフィン)

セフトリアキソンとして1g(力価)を、1回だけ静脈内に注射します。

セフトリアキソンは抗生物質ですので、腸内細菌にもきいてしまうことがあります。そうすると腸内細菌がつくっていたビタミンB6やビタミンKが少なくなり、口内炎ができたり鼻血が出やすくなったりします。ビタミン不足にならないように、肉や緑の野菜、納豆などを食事に取り入れるようにしましょう。

スペクチノマイシン塩酸塩水和物(商品名:トロビシン)

スペクチノマイシンとして2g(力価)を、1回だけ筋肉内に注射します。

アジスロマイシン水和物(商品名:ジスロマック)

アジスロマイシンとして2g(力価)を、水に懸濁させて、空腹時に1回飲みます。

 

男性器・女性器への感染の治療―精巣上体炎、骨盤内炎症性疾患

淋菌が感染してからの期間が長く、精巣上体や骨盤内まで感染しているときには、重症度にあわせて、薬の量を変えて使います。アジスロマイシンは、女性の骨盤内炎症性疾患に使うことができる薬で、特にセフトリアキソンにアレルギーがあって使えないなどの場合に選択されています。

セフトリアキソンナトリウム水和物(商品名:ロセフィン)

セフトリアキソンとして1g(力価)を、1日に1~2回、1~7日間、静脈内に反復して注射します。反復する回数は重症度にあわせて決めていきます。

スペクチノマイシン塩酸塩水和物(商品名:トロビシン)

スペクチノマイシンとして2g(力価)を、まず1回、筋肉内に注射します。

重症度により、その3日後に両方のお尻に2g(力価)ずつ計4gを追加して注射します。

アジスロマイシン水和物(商品名:ジスロマック)

アジスロマイシンとして0.5gを、1日1回、2時間かけて静脈内に点滴します。医師が飲み薬に変更してもよいと判断した場合は、アジスロマイシン250mg錠を1日1回飲む方法に切り替えます。

 

のどへの感染の治療

のどに淋菌が感染した場合は、セフトリアキソンを使います。ただし、セフトリアキソンはセフェム系抗生物質のため、他のセフェム系抗生物質にアレルギーがある場合は使うことができません。セフトリアキソンを使えない患者さんの場合には、感染した淋菌に効果があるかどうか前もって確かめたうえで、アジスロマイシン水和物(商品名:ジスロマック)、ニューキノロン系抗菌薬、ミノサイクリン塩酸塩(商品名:ミノマイシン)を使うことを考えます。

セフトリアキソンナトリウム水和物(商品名:ロセフィン)

セフトリアキソンとして1g(力価)を、1回だけ静脈内に注射します。

 

全身の症状の治療

セフトリアキソンを使いますが、治療中や治療後の検査結果を見ながら、個別に投与期間を決めていきます。

セフトリアキソンナトリウム水和物(商品名:ロセフィン)

セフトリアキソンとして1g(力価)を、1日に1回、3~7日間、静脈内に反復して注射します。

 

眼への感染の治療

スペクチノマイシン塩酸塩水和物(商品名:トロビシン)

スペクチノマイシンとして2g(力価)を、お尻に筋肉内注射します。

セフトリアキソンナトリウム水和物(商品名:ロセフィン)

セフトリアキソンとして1g(力価)を、1回だけ静脈内に注射します。

 

直腸への感染の治療

◇スペクチノマイシン塩酸塩水和物(商品名:トロビシン)

スペクチノマイシンとして2g(力価)を、お尻に筋肉内注射します。

◇セフトリアキソンナトリウム水和物(商品名:ロセフィン)

セフトリアキソンとして1g(力価)を、1回だけ静脈内に注射します。

 

淋菌の感染事例

淋菌に感染した患者さんの事例をもとに、淋菌感染症の症状・治療・その他の注意事項について、具体的におさらいしていきましょう。

 

20歳台の独身男性、淋菌感染症

症状

尿道から黄白色の分泌物があり排尿時にも痛みがあるため、受診した患者さんです。

症状に気がついたのは3日前でしたが、1週間前に性風俗店でオーラルセックスのサービスを受けていました。

治療

医師は直腸からの指診を行い、前立腺の腫れや押したときの痛みがないことを確認しました。尿検査では、白血球が多く見られました。

さらに、尿道分泌物グラム染色を行い顕微鏡検査をしたところ、淋菌が確認されました。そのため、淋菌に対する薬物治療を行うことになり、セフトリアキソンナトリウム水和物1g(力価)を1回静脈内に注射しました。

その他の注意事項

医師は、淋菌は性行為により感染するため、1週間前に感染した後に性行為を行った相手がいるようなら、その相手も治療が必要であることを伝えました。

さらに、今後の感染を防ぐために、性行為時にはコンドームを使用すること、性行為感染症にかかる危険性のある性行為は行わないことをすすめました。

 

20歳台の既婚女性、淋菌感染症

症状

特に自分では症状があったわけではありませんが、夫が淋菌感染症にかかったことがわかったため、夫がかかっている医療機関に夫とともにきた患者さんです。

治療

医師は夫が淋菌に感染していたことから、子宮頸管に淋菌が感染しているのではないかと疑いました。検査をして淋菌感染がわかったため、夫が治療に使ったのと同じくセフトリアキソンナトリウム水和物1g(力価)を1回静脈内に注射しました。

その他の注意事項

医師は、性行為感染症は、性行為の相手と一緒に治療しないと、いったん病気がなおっても、また相手の病気がうつって再発することを説明しました。

参考文献

  • 性感染症 診断・治療ガイドライン2016(日本性感染症学会)
  • 各医薬品添付文書
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