高齢者のEDが多い理由は?テストステロン不足によるLOH症候群

性的興味が薄い幼児の時期は勃起も起こりませんが、女性に興味を持つ思春期から50歳くらいまでは性的刺激による勃起は頻繁に起こるのが一般的です。

しかしながら、50歳を境に精力が減退し、健康体でも勃起力は低下してくると言われています。

女性の場合には高齢になると排卵が行われなくなる閉経と呼ばれる生理現象があり、通常は閉経を境にホルモンバランスが変化し性欲も低下してきます。

男性には閉経に該当するものはなく幾つになっても精子を造ることは可能であり、勃起力が維持されていれば性交が可能ということになります。

ところが、実際には60歳、65歳になっても若い頃と同じように勃起し性交を行うことが出来るという人は少なく、60歳代の6割はEDということです。

4割の男性が若い頃と同様に勃起するというのが、数字的に大きいのか小さいのかというのは難しいところです。

高齢者が勃起しないことで生じるデメリット

さて、高齢者の場合、勃起しないからといって不便や問題があるわけではありません。

結婚してからの年数が経過すると性交の頻度が低下するというのが一般的ですし、加齢と共に女性に対する興味が薄れる、というよりか、別の事象への興味が勝るということもあるかもしれません。

女性の裸を見てもそれが性的刺激につながらないという高齢者もいることでしょう。

ただし、性交する機会に遭遇することがあった時に、役に立たないことで「情けない」とか「男として終わっている」といった精神的ダメージを被る可能性はあるかもしれません。

オーバーかもしれませんが、性生活だけでなく普通の生活に対する意欲が削がれる可能性もあります。

EDが起こる原因にはいくつかの因子がありますが、男性ホルモンの一つであるテストステロンの合成能力が加齢と共に低下することが高齢者にED患者が多くなる原因の一つと考えられます。

 

テストステロンとは?

テストステロンは男性ホルモン(アンドロゲン)の一種で、睾丸において95%が生産され、残りは副腎で生産されています。

テストステロンは、思春期に入ると睾丸での生産量が著しく増大します。

テストステロンの作用そのものは筋肉や骨格の発達に関与しており、男性と女性の肉体の差異に影響を与えます。

 

女性でもテストステロンは卵巣や副腎で合成されますが、男性の1/10から1/20程度しかありませんので、女性の体は男性よりも華奢になるというわけです。

また、テストステロンそのものは直接勃起に関係するわけではなく、精嚢や前立腺あるいは精巣上体という男性の生殖に関係する器官で合成される5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロンに変換されて性ホルモンとして機能するようになります。

 

思春期から増大するテストステロンは30歳前を境に生産能力が徐々に低下し、1年で1、2%程度減少するそうです。

テストステロンの減少は加齢だけが影響するわけではなく、ストレスや食生活といった生活習慣による影響も大きいようです。

中高年の女性を悩ませる更年期障害という一連の症状が有名ですが、40歳以上における極端なテストステロンの低下は男性の更年期障害であるLOH症候群として知られています。

 

EDはLOH症候群の症状の一つ!

LOH症候群はテストステロンの欠如に伴う男性の加齢疾患ですが、日本では「歳をとれば当たり前の現象」として考えられていた時期があり、「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療手の手引き」が出され治療として扱われるようになったのは21世紀に入ってからです。

昔から注目はされていましたが、様々な症状があり、一つの疾患としてまとめられないことやうつ病との区別が難しいことからなかなか踏み切ることが出来なかったということです。

「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療手の手引き」に収載されているLOH症候群の症状および兆候としては以下のようなものがあります。

LOH症候群の症状および兆候
  • リビドー(性欲)と勃起能の質と頻度,とりわけ夜間睡眠時勃起の減退
  • 知的活動,認知力,見当識の低下および疲労感,抑うつ,短気などに伴う気分変調
  • 睡眠障害
  • 筋容量と筋力低下による除脂肪体重の減少
  • 内臓脂肪の増加
  • 体毛と皮膚の変化
  • 骨減少症と骨粗鬆症に伴う骨塩量の低下と骨折のリスク増加

の七つが挙げられており、勃起機能の質と頻度というEDの症状が筆頭に挙げられています。

 

ED以外の症状としては、筋肉量の低下や骨粗しょう症といった明らかにテストステロン不足に伴う症状もありますが、不眠症や認知症、さらには、内臓脂肪の増加というメタボリックシンドロームにも大きく影響しているとされています。

また、精神的にも不安定になり、些細なことで怒ったりイラついたりするという認知症やうつ病の症状が出ることもあります。

他にも、頭痛や耳鳴り、頻尿なども、LOH症候群の一症状である可能性があるとされています。

 

40代でも安心してはいけません!

LOH症候群の発症の目安は40歳が目安と言われていますので、EDの症状は起こっていなくても他の症状があれば、その内EDの症状も出てくるかもしれません。

男性は老人と呼ばれる歳になっても90%近い人に性欲があると自答しており、50%前後の人が性交をしたいと思っているという調査結果もあるそうです。

そのことを踏まえると、40歳代で性欲そのものが無いという時点でLOH症候群であり、EDを発症する可能性は十分あるということになります。

 

性欲があるのに勃起しないという人はEDですので泌尿器科を受診するべきですが、EDではないにしてもLOH症候群が疑われる症状が気になる人も病院を受診することをお奨めします。

診断は素人ができるものではありませんが、病院でも使われるAMSスコアという質問表を使えば病院を受診すべきかどうかの判断くらいはできるかもしれません。

AMSスコアで合計点が17点以上であれば、LOH症候群である可能性が高いということです。

参考文献:AMSスコア(堀江重郎 順天堂大学医学系大学院泌尿器外科学、日本内科科学会雑誌、Vol.102(2013)No.4 p.914-921

①総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方)

②関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)

③ひどい発汗(おもいがけず突然汗が出る、緊張や運動とは関係なくほてる)

④睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れないなど)

⑤よく眠くなる,しばしば疲れを感じる

⑥いらいらする(あたり散らす、ささいなことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)

⑦神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かないなど)

⑧不安感(パニック状態になる)

⑨からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、余暇活動に興味がないなど)

⑩筋力の低下

⑪憂うつな気分(落ち込み、悲しい、涙もろい、意欲がわかないなど)

⑫「人生の山は通り過ぎた」と感じる

⑬「力尽きた」、「どん底にいる」と感じる

⑭ひげの伸びが遅くなった

⑮性的能力の衰え

⑯早朝勃起の回数の減少

⑰性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求が起きない)

各項目を、「ない」1点、「軽い」2点、「中程度」3点、「重い」4点、「きわめて重い」5点で集計する。

合計点で、男性更年期障害の症状の重症度をみる:17~16点「ない」、27~36点「軽度」、37~49点「中等度」、50点以上「重症」

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