男性にとって陰茎の勃起というのは、メンタル面でも大きな意味を持っています。
男性の生理現象に「朝立ち」というものがありますが、若い人にとっては毎日自然に起こる朝立ちという現象が、中高年の男性にとっては健康状態、というよりも、意欲・精力のバロメーターにもなっています。
詳細は後程解説しますが、性的な勃起も生理的な勃起も陰茎が大きく硬くなるという現象のメカニズムは同じです。
従って、「朝立ち」がしっかり確認できる朝を迎えることが出来ただけで、「男として、まだまだ現役!」、「今日も一日頑張るぞ!」というように考えることが出来るというわけです。
勃起という現象が起こらない状態というのは健康上の問題がある場合もありますが、精神的な原因による場合もあります。
メンタルの影響でEDになるということもあるということから考えても、朝立ちだけを取り上げて元気になることが出来るというのも頷けなくはありません。
しかし、女性と向き合って性交ができないのがEDであり、朝立ちや自慰による射精が可能であるからといってEDではないということはありません。
さて、男性にとって肉体的にも精神的にも大切な勃起という現象のメカニズムは、どうなっているのでしょうか?
性的刺激による勃起のメカニズム
陰茎は包皮で覆われており、その中には2本の陰茎海綿体と1本の尿道海綿体が含まれています。
海綿体の内部には網の目のように走る静脈があり、静脈洞と呼ばれる無数の空洞を持つスポンジ状の構造体です。
陰茎の90%は海綿体で構成されています。
一方、陰茎は性交を行うときに精子液が通過する管であると共に、排尿時に尿が通過する管でもある尿道が存在します。
陰茎の先端部(亀頭部分)までつながっている尿道海綿体の中心部に包まれるように存在する尿道は膀胱とつながっており、膀胱に蓄えられている尿の量が許容量を超えると排出されることになります。
一方、精巣(睾丸)で産生される精子は精巣上体、精管、精嚢、射精管を経由して尿道に合流して射精されることになります。
陰茎深動脈に流れ込む大量の血液が陰茎海綿体内部に存在する細い静脈に流れ込むことによって、陰茎海綿体は膨張します。
膨張しているだけであれば陰茎が硬くなることはありませんが、海綿体は弾力のある白膜という膜で包まれており血液が送り込まれて膨張するにしても限界があります。
また、海綿体内部に血液が広がった状態になると、陰茎表面の近くにある陰茎静脈が圧迫されて血液が流れにくくなり陰茎内部の圧力がどんどん上がって硬くなります。
これが、勃起と呼ばれる現象です。
陰茎海綿体と勃起の関係
女性の裸体や裸体を撮影した画像や動画といったバーチャルなものによる視覚的刺激、性的に興奮している声などの聴覚的刺激、フェロモンによる嗅覚的刺激、あるいは、陰茎そのものに性交を思わせるような適度な圧力が加えられるという触覚的刺激などの性的刺激が脳に伝達されて、副交感神経によって陰茎海綿体の陰茎深部動脈に血液を流すようにコントロールされています。
人間のフェロモンを感知する嗅覚は退化しており、イヌなどの動物のような訳にはいかないそうです。
ちなみに、勃起している時には陰茎海綿体がマックス状態まで膨張していますので、尿道も圧迫されることになります。
しかし、尿道は陰茎海綿体よりも柔らかめの尿道海綿体に包まれており、尿道が過剰な圧迫を受けないようになっています。
それでも、陰茎海綿体の膨張により尿道は狭くなり、尿は出にくい状態になっています。
精子液は尿ほど大量に排出されるわけではありませんので、尿道が多少狭くなっていても問題はありません。
勃起時の陰茎のサイズはどれくらい?
平常時あるいは勃起時の陰茎の大きさというのは、個人差があります。
トイレに入っても隣の人の陰茎を凝視することはできませんし、温泉に入るときでも隠している人の方が多い上に凝視していると変な性癖があるのではないかと勘ぐられてしまいます。
しかし、男性心理としては、自分の陰茎は他人と比べて大きいのか小さいのかというのは気になります。
さて、人の陰茎の大きさは乳幼児では2、3㎝で、生理的な勃起状態でも4㎝程度といわれています。
ところが、思春期に入ると平常時で4㎝程度であり、勃起時は1.5倍程度が一般的です。
成人になると平常時のサイズはさらに2㎝ほど大きくなり、勃起時には最低で9、10㎝、15㎝程度が最も多いと言われています。
また、陰茎の大きさそのものは17歳くらいがmaxで、それ以後は成長が止まるとされています。
詳しい情報は以下の記事でご紹介しています。
日本人ペニスの平均サイズと世界評価・女性が性交SEXに満足する大きさは?
「朝立ち」は性的な勃起とどう違うのか?
性的興奮とは別に、生理的な因子によって海綿体が膨張するというのが朝立ちと呼ばれる男性の生理現象です。
朝目覚めた時に勃起していることから朝立ちと呼ばれますが、実際には眠っている間に複数回繰り返されるレム睡眠とノンレム睡眠のレム睡眠、いわゆる、比較的浅い睡眠の時に勃起が起こることから夜間陰茎勃起現象というのが正式な名称です。
眠っている時には勃起しているかどうかは本人には分かりませんが、一晩で最低4回多くて8回程度は断続的に勃起を繰り返しているそうです。
生理現象による勃起が起こる目的は明確になっていませんが、勃起力の維持というのが有力であると考えられています。
血管で構成されているような海綿体は、長時間勃起しない状態で組織が委縮する原因になります。
定期的に陰茎海綿体に酸素が豊富に含まれている血液を送り込むことにより、海綿体を膨張させながら陰茎内部の血管や筋肉組織に定期的に酸素をを供給して細胞の劣化を防ぎ正常に勃起するようにメンテナンスしているというわけです。
すなわち、夜間陰茎勃起現象による勃起のメカニズムは性的刺激による勃起と何ら変わりはありませんが、海綿体内に血液を送り込むようにコントロールしている副交感神経が異なっています。
目覚めた直後は膀胱内に大量の尿が蓄えられているため尿意に襲われますが、朝立ちによる勃起では性的刺激による勃起よりは勃起レベルに違いがあるのか、飛ばす方向のコントロールは難しいですが排尿は行うことが出来ます。