性欲も気力も低下…EDの原因は男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症:LOH症候群)かも?

最近、仕事に集中できない、性欲も落ちた?

身体がだるいので病院で検査してもらったけれど、「異常なし」と言われた……

でも、身体のだるさは一向に解消されない……

こんな、一言では言い表されない症状に悩まされている方はおられませんか?

違うかもしれませんが、40、50歳代の男性であれば、一度、男性更年期障害かも?と考えてみませんか?

案外、あたっているかもしれません。

女性の更年期障害に合わせて男性の場合も更年期障害害と呼んでいますが、正式には「加齢男性性腺機能低下症:LOH症候群」といいます。

女性では女性ホルモンのエストロゲンなどの減少で更年期障害が起きるように、男性も男性ホルモンのテストステロンなどの減少で同じように更年期障害が起きるわけです。

高齢者に対する医療:男性のほうが女性よりも遅れている

たとえば、女性の更年期障害は性ホルモン補充法など早くから治療方針などが確立されていましたが、男性の加齢による身体や精神の不利益な症状改善に対しては日本に限らず、諸外国でも遅れていたと専門家は指摘していました。

 

女性に比べて治療の選択肢が少なかった

女性の更年期障害に対する改善方法や治療方法は巷にたくさん、溢れています。

しかし、男性の更年期障害に対する改善方法や治療方法は、ED治療のPDE5阻害剤(例:バイアグラ)関係の薬剤以外、医療上に出てくることはありませんでした。

 

老後生活を快適に過ごすためにLOH症候群改善・予防は重要

平均寿命が延び、長い老後生活を有意義に生きるためには、男性に対しても加齢による生理機能低下の改善に取り組んでいかなくてはいけません。

そのために日本泌尿器学会・日本Men`s Health医学会がLOH症候群の診療ガイドラインを作成しました。

このガイドラインを参考にしながら、男性の更年期障害・LOH症候群について考え、健康的で快適な老後生活を送る橋渡しになればと思います。

 

LOH症候群の精神症状はうつ病の症状は酷似している

気分が滅入る、やる気が出ない、食事がおいしくないといった症状で病院を受診します。

身体的な検査を行なってそれらに異常がなければ、精神的な症状とするわけですが、LOH症候群の精神症状はうつ病と似ているため、鑑別が難しいといわれています。

ただ、年齢によるある傾向があります。

 

前期更年期の男性にうつ病が圧倒的に多い

泌尿器科の男性更年期障害の外来を受診したうつ症状のある男性患者さんの中で、40~50歳代の前期更年期年齢の患者さんでうつ病と診断されたのが約6割で、60歳以上の後期更年期年齢の患者さんでうつ病診断されたのが約2割だったという報告があります。

このことは何を意味しているのでしょうか?

後期更年期の患者さんほうがLOH症候群からくるうつ症状で真性のうつ病ではない方が多く、前期更年期の患者さんはLOH症候群とは無関係の真性のうつ病のほうが多かったということになります

 

 

うつ症状にまで至らない気分変調性障害の方が一番、テストステロンの量が低い

うつ症状とまではいかなくてもその手前の憂うつな気分が強い気分変調障害という精神症状があります。

健常者、うつ病、気分変調障害、それぞれの人のテストステロン量を調べました。

この三人の中で一番、テストステロン量が少なかったのはどの方でしょう?

気分変調障害の方が一番、テストステロンの量が低かったようです。

これを前述した「うつ病と診断されなかったのは前期更年期者よりも後期更年期者のほうが多かった」に合わせて考えてみますと、後期更年期者のうつ症状はどちらかと言えば、気分変調障害に近く、LOH症候群による精神症状ということができます。

一方、働き盛りの前期更年期者のうつ症状は仕事や生活に対するストレス。睡眠不足などが原因となるうつ病の症状と考えることができます。

 

厄介なのは、前期更年期者はこのようなうつ病とLOH症候群による精神症状も併発していることもあるということです。

うつ的な症状もテストステロン量の減少で起きることが、これでわかりました。

テストステロンの減少はうつ的な症状だけでなく、その他、色々な症状を誘発します。

 

LOH症候群の改善

テストステロン量の減少は色んな不利益な症状が出現し、QOLまで低下させ、色あせた生活になると言っても過言ではありません。

従って、女性と同様に性ホルモン(アンドロゲン)の補充療法(ART)が効果的ということになります。

この療法にどのようなメリットがあるのでしょうか?

メリット一覧
  • 性機能アップ:性欲向上、射精作用、ED改善あり
  • 筋肉量増加:筋肉の成分はたん白質。テストステロンはたん白質合成する働きがある
  • 骨を作る:骨の吸収を抑え、骨量を増やす 骨粗鬆症の予防
  • 体脂肪量の減少:悪玉(LDL)コレステロール値低下。体重減少
  • 赤血球の産生:貧血などの改善予防
  • 冠動脈疾患の改善:冠動脈疾患特有の心電図の波形(ST降下)が改善されたとの報告がある。ただし、冠動脈疾患を予防するかどうかは未明

 

EDは血行障害、脂質異常などが引き金となりますが、上記をざっと見ても、テストステロンの補充によってそれらが改善されることがわかりますね。

※アンドロゲンとは:男性ホルモンの総称でその95%がテストステロンです、

 

ARTが適応となる場合

まず、LOH症候群と考えられるような症状をもつ40歳以上の男性であることが条件です。

そして医師は血中遊離テストステロンの値でARTを行うかどうかを判断します。

血中遊離テストステロンが正常範囲内であっても、減少傾向であれば、ARTを行なうこともあります。

ARTを行うリスクもあるので医師は慎重に判断します。

ART開始後は3カ月ごとに治療効果を確認し、一年後、治療継続、中止などを患者さんと相談して方針を決めていきます。

 

ARTの副作用

血中遊離テストステロン値が低いと、冠動脈疾患になりやすいと言われてはいますが、長期間、ARTを行なった場合、ARTがどのように循環器系に影響するかはまだわかっていないため、必要に応じた臨床検査もARTと併用して行う必要があります。

前立腺系統の疾患にも注意をしなくてはいけません。

また、高用量のARTを行った場合、善玉(HDL)コレステロールの値が下がることがあります。

ARTを行なったEDなどの性機能低下の方の約1/4に血栓を取り除く手術または、ARTの中止もやむえない多血症になることがあります。

その他、肝機能低下、睡眠時無呼吸症候群、体毛の増加などの副作用が考えられています。

参照URL: 日本泌尿器科学会・日本 Men’s Health 医学会「LOH 症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会 「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き

https://www.urol.or.jp/info/data/gl_LOH.pdf

 

まとめ

この記事のまとめ
  1. 平均寿命が延び、長い老後生活が待ち受けているため、QOLが下がらないようにする方法を見つける。その中にもちろん、性機能向上も含まれている
  2. 男性の更年期障害治療は、女性の更年期障害治療に比べて遅れている。
  3. 快適な老後生活を送るためにはLOH症候群の改善は必要事項
  4. LOH症候群の精神症状とうつ病の症状の違い
  5. LOH症候群改善のためのART(アンドロゲン補充療法)と副作用

ホルモン療法は一生続行することもありますが、まだまだ、ARTに対する不安材料は多く、一生続行することへの抵抗が医師たちの間にもあります。

現在は、治療期間中でも常に患者さんの了解や理解を得ることが大切であり、副作用が出たら、治療の効果はあっても、中止すべきという見解がLOH症候群治療ガイドラインの方針でもあります。

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