慢性腎臓病(CKD)、人工透析患者さんの約半数はEDに!

 人工透析中の患者さんの精力が減退し、EDになるという話をよく聞きます。
メタボリックシンドロームなどで高血圧、糖尿病などを発症している人は腎機能が低下し、放置することでEDにまで発展する可能性もあります。
ここでは、腎機能の低下がEDとどんな関係にあるのかについて解説し、注意喚起できればと思います。

近年、日本においても人工透析を受ける方が増えています。
それに比例してこの病気に対する理解も深まり、少しずつではありますが、人口透析患者さんも就労活動に前向きな気持ちで取り組み画できるようになったとも言われています。

しかし、仕事ができるようになったとはいえ、真のQOL向上とはいえません。

QOLの中でも男性性機能向上は非常に重要で、男性にとっては欠かすことができないものです。
腎臓に障害があると男性性機能が充分に維持できなくなり、人工透析にまで進行すると、その約半数以上の方がEDになってしまうと言われています。
非常に深刻なことです。

なぜ、腎機能低下がEDに結びつくのでしょうか?
これから検討していきます。

腎機能低下とEDの関係をよく理解することは、腎機能低下を招くような病気、例えば、糖尿病、高血圧、高尿酸血症などにならないように注意をし、すでに糖尿病や高血圧になった方はこれ以上、進行しないよう心がけていくきっかけになると考えます。

 

EDと腎機能低下が関係している理由

EDと腎機能低下がそれぞれどのようにして発症するかを理解することで、この二つの関係がわかってきます。

 

EDになる原因

EDは英訳で「Erectile Dysfunction」、和訳で「勃起不全」と称されています。
ただ、勃起不全というと、全く勃起しないということを意味しているように思われがちですが、そうではなく、勃起しても十分にならず、性交を完全に最後まで成し遂げることができない状態をいいます。

そうなると、EDの可能性が考えられる方は、結構おられると思われます。

性的刺激が脳に伝わると、陰茎にある海綿体を取り囲む動脈が広がり血液が大量に流れ込み勃起が始まるわけですが、動脈硬化などが原因で動脈がしっかりと広がらなければ充分な勃起がえられないという状況になり、これをEDといいます。

動脈硬化をおこす代表的な病気が、糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病です。
その他、ストレスや男性ホルモン量の減少でもEDの原因となります。

参照URL:EDネットクリニック.com(バイエル薬品)「EDの症状」
http://ed-netclinic.com/about_ed/sick.php

 

慢性腎臓病(CKD)はどのようにして発症?

たとえば、糖尿病のような生活習慣病、または他の原因から腎機能が徐々に低下したとします。

  1. 尿・血液検査や画像診断などで腎機能の異常
  2. 一定量以上のたん白尿
  3. GFR「糸球体ろ過量」という腎機能の程度を表す数値が60(ml/分/1.73m2)未満

上記の①〜③の状態が、3カ月続くと慢性腎臓病と診断されます。
慢性腎臓病には5つの病期に分けられています。
1ステージが正常で、2,3,4と腎臓の障害度が上昇し、ステージ5になると末期で人工透析が必要になります。
当然ながら、EDの度合いもステージが上にいくほど強くなります。

参照URL:一般社団法人全国腎臓病協議会「腎臓病について」
http://www.zjk.or.jp/kidney-disease/about/index.html

 

慢性腎臓病・腎不全がEDとつながる理由

腎臓はろ過機能を持っており、老廃物とそうでない物に分離し、老廃物は尿として体外に排出され、それ以外は再び、血液を介して全身に運ばれます。
腎機能が低下することで、このような働きがスムーズに行われなくなります。
それ以外にも、腎機能低下は色んな身体機能の調節を乱してしまいます。

EDに結びつくものとして
  1. 男性ホルモンのテストステロンの分泌低下
  2. 高プロラクチン血症
  3. 腎性貧血

腎不全になったことによって、上記の①〜③がEDにつながると考えられます。

 

腎不全とテストステロンの関係

腎臓は尿を作る場所として知られていますが、それ以外にもたくさんの働きをもっています。
その一つに内分泌物質(ホルモンなど)の分泌促進という働きがあります。

腎不全になるとこの働きが阻害され、ホルモンの一つであるテストステロンの分泌が低下します。
そのため、腎不全という高度な腎機能低下になると、テストステロンを十分に得ることができず、EDを発症しやすくなります。

 

高プロラクチン血症がEDを誘発

高プロラクチン血症という病気があります。この病気もまた、EDの発症誘因になります。
高プロラクチン血症は色んな原因で発症しますが、腎不全もその一つです。

腎不全になり、老廃物が体に蓄積(尿毒症)され、それがプロラクチンの分泌を抑えようとする働きを阻止するためプロラクチンが増えてしまうわけです。
プロラクチンは性欲を失わせるホルモンであるため、EDを誘因します。

※プロラクチンとは
脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンで黄体刺激ホルモンで、女性にも男性にもあります。
女性にとっては、母乳の生成、分泌を促進します。
ということは、子供が生まれたばかりのときはプロラクチンの分泌が上がります。これは母体を休ませる意味も含め、妊娠するための機能を抑えるためです。

男性もプロラクチン量が高くなり、女性を妊娠させない様に働くと言われています。
最近、増えた男性の不妊症の一つに高プロラクチン血症があります。

 

腎性貧血による血液量減少でEDに

腎機能が高度に低下すると、赤血球を作るホルモンであるエリスロポエチンの分泌が低下します。
そのため、腎性貧血を併発することがあります。
勃起は海綿体に大量の血液が流れることで起きる現象です。腎性貧血になることで血液量が不足することがEDの原因になることがあります。

その他に、糖尿病など生活習慣病が原因の腎不全であれば、動脈硬化が進んでおり、血行障害も無視できません。
陰茎周辺の血管が十分に拡がらないことで起こるEDもあるというわけです。

 

腎不全によるED治療薬はバイアグラに限定

60歳以上の腎不全患者さんの約9割が、EDといわれています。
しかし、腎不全によるEDの改善はPDE5阻害薬が効果的と言われています。
ただ、腎不全の場合、厚生労働省認可のPDE5阻害薬の中で使用できるのはバイアグラのみです。

腎機能低下が高度であるために薬剤の体外排出が健康な人よりも悪い(薬剤の代謝低下)状態にあり、バイアグラの血中濃度が上がりやすくなっています。

従って、場合によっては低用量から始める必要があり、まずは、腎不全の治療にあたる医師にEDの相談をする方が良いでしょう。

 

テストステロンやエリスロポエチン投与も有効

腎不全でEDを発症した場合、遊離テストステロン値が低いのであれば、テストステロンの補充が有効であるという報告もあります。
また、エリスロポエチンの投与で腎性貧血を解決し、EDが改善されたというデータもあるようです。

参照URL:新宿ライフクリニック「 腎不全による男性ホルモン;テストステロンの分泌低下」
http://www.life-cl.com/glossary/shi/The-reduction-of-testosterone-by-renal-failure.html

参照URL:新宿ライフクリニック「高プロラクチン血症の症状の一つとしてのED/勃起不全」
http://www.life-cl.com/glossary/ko/hyperprolactinemia.html

 

まとめ

① EDと腎機能低下はつながっている
② 腎不全患者さんはテストステロンを減らし、高プロラクチン血症を併発することでEDに
③ 腎不全によるEDもPDE5阻害薬が効果的といわれるが。バイアグラ以外は使えない
④ 腎不全の患者さんにテストステロンや、エリスロポエチンの投与でEDが改善された

慢性腎臓病も腎不全にまで進行してしまうと、諦めてしまうことが多くなります。
もちろん、腎不全にならないようにすることは、ED予防になります。

 どんなに注意していても、腎不全にならない、ひいては、病気にならない保障なんてありません。
万が一のことを想定して色々考えてみるのも、ときにはいいかもしれません。
悲観すべきことばかりでなく、その病気ならではの改善方法もあることを知っておきましょう。

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